インテル,モバイルWiMAXを第3,第4世代携帯の国際規格に提案


「モバイルWiMAXをIMT-2000(第3世代携帯電話,3G)標準に,次世代のモバイルWiMAXであるIEEE 802.16mをIMT-Advanced(第4世代携帯電話,4G)標準にするようITU(国際電気通信連合)に提案している」──。


インテルの庄納崇・研究開発本部シニアリサーチャーは4月9日,同社が開催したWiMAXの動向に関する説明会でモバイルWiMAXの周波数獲得戦略を明らかにした。


モバイルWiMAXは,無線を使って数十Mビット/秒の通信を実現する無線ブロードバンドの通信規格で,「IEEE 802.16e」として標準化されている。一方のIEEE 802.16mは,100M~1Gビット/秒を目指したモバイルWiMAXの次世代に当たる規格だ。2007年1月に標準化の検討が始まった。


現在,モバイルWiMAXで利用する電波の周波数について世界共通の取り決めはない。そのため,通信事業者などが独自に各国当局に働きかけ,各国ごとに2.5GHz帯や3.5GHz帯などを確保できる見通しになった。日本では2.5GHz帯を割り当てる方針を総務省が示している。


庄納氏によると,インテルを含むWiMAXを推進する企業は,モバイルWiMAXを世界共通の周波数で利用できるようにする動きを進めているという。その手段が,モバイルWiMAXを3Gや4Gの国際標準規格にすることだ。「業界団体のWiMAXフォーラムとIEEE(米国電気電子学会)が共同でITUに働きかけている」(庄納氏)。


この提案が認められれば,通信事業者は3G向けに分配された周波数帯でモバイルWiMAXサービスを提供できることになる。具体的には,TDD(時分割複信)方式の3G向けに国際分配された2.5G~2.69GHzを,世界中でモバイルWiMAXで利用できるようになる可能性がある。


なお,4Gで利用する周波数は未定。2007年10月から11月に開催される世界無線通信会議で検討される予定だ。


(白井 良=日経コミュニケーション [2007/04/10])


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802.16mをモバイルWiMAXというかどうかは定かではないが、この次世代規格がIEEEのみでなく、ITUで新しく標準化の方向に進んでいることは歓迎したい。


モバイルWiMAXは盛り上がった後、技術的な点でUMTSやCDMA方式に足りないところや、サービスの位置づけとしてもデータオンリー(パソコンのみ)とか、ケータイの補完的な位置づけにとどまっている。また、ECOシステムが未整備なこともあり、一部米Sprint NEXTELや韓国のWiBroとして走り出しているものの、世界的にはビジネスとして未だ立ち上がっていない。


この新しい802.16mは超高速化の点だけではなく、モビリティの面で改善が見られるので、LTEやUMBがどのように競合していくか、あるいは調和していくか、期待できるので、その動向には注視していきたい。